ノーベル物理学賞受賞者・ワイマン博士の著書邦訳『科学立国のための大学教育改革』出版

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  • |2021年7月14日/AM 8:53

 2001年ノーベル物理学賞受賞者で現スタンフォード大学教授のカール・ワイマン(Carl Wieman)博士の著書 Improving How Universities Teach Science の邦訳書『科学立国のための大学教育改革: エビデンスに基づく科学教育の実践』が7月10日に玉川大学出版部より刊行されました。本書の翻訳は、本学の高度教養教育・学生支援機構の教員3名が監訳者として中心的役割を担いました。

 

 監訳者とワイマン博士との出会いは、2017年4月、同博士が東京で行った「エビデンスに基づく科学教育」という講演会でした。この講演では、経験豊富で学生の授業評価が高い教員による講義型授業よりも、教育経験のほとんどないポスドク研究者が科学的根拠(エビデンス)に基づく教授法により実施した授業の方が、授業後のテスト得点が大幅に高くなった研究結果がグラフで示されました。

 

 後者の教授法を支えるエビデンスをもたらしたのは、DBERディーバー(Discipline-Based Education Research)と呼ばれる「学問分野に根差した教育方法の研究」でした。教育効果の差がクリアなデータとして示されていることに衝撃を受けた監訳者が、この優れた教授法をぜひ日本でも普及させたいと考え、その時出版されたばかりの同博士の著書の日本での翻訳を企画したのです。

 

 邦訳出版までの期間、本学では、2019年に著者のワイマン博士を招き、国際シンポジウム「科学・技術教育の科学的変革」を開催するなど、継続的にDBERの普及に取り組んできました。学問を基盤とする大学教育において、学生が各学問に固有の思考法等を獲得することの重要性は言うまでもありません。DBERによる効果的な教授法に関する科学的知見の蓄積・活用は、大学教育の質保証の観点からも、非常に大きなメリットがあります。

 

 本書は、アメリカとカナダの大規模研究大学において、ワイマン博士の主導により、エビデンスに基づく授業改革を普及させた取組「科学教育イニシアティブ」の全貌を紹介しています。本書は、科学教育はもとより他分野の教育についても、自大学の教育の改善・改革を目指す大学関係者にとって参照可能な知見と教訓を提供しています。

 

詳細)玉川大学出版部HPへ
http://www.tamagawa-up.jp/book/b584322.html

 

問い合わせ先: 高度教養教育・学生支援機構 大学教育支援センター 電話 022-795-4472

 


「邦訳本表紙」