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歴史から見た大学:中世から現代まで(チャプター4)

講師:寺﨑 昌男(立教学院)
実施日:2013.09.01 全132分 視聴数:1856回

講義の概要

「過去を学び,現在を知り,未来を創造する」(Creating the Future of Faculty Development Learning From the Past, Understanding the Present)とは,アメリカの大学教育開発に大きな影響を与えたマリー・ソルチネッリらの著書の表題です。90年代から,様々な大学改革の制度が導入されてきました。大学設置基準の大綱化,大学評価,任期制,国立大学法人化,学士力,3つのディプロマポリシーなど,あまりにも多くの改革論が流布し,大学人は振り回されがちです。大学を真によくするためには,過去を理解することで大学の現在を知り,大学の未来を展望することが重要です。アメリカの高等教育に関する大学院プログラムでは,高等教育の歴史が重視され,大学教員の身につけるべき素養としても筆頭に掲げられているのは当然のことと言えましょう。
本動画では,日本における大学史研究のパイオニアであり,日本教育学会長・教育史学会代表理事・大学教育学会長を歴任し,大学教育の研究と実践に半世紀にわたって大きな足跡を残している寺﨑昌男氏(東京大学名誉教授)を囲む座談会形式で,歴史の視点から大学のあり方を学びます。

チャプター4:公私立大学への制約

チャプター4では、1918年に発令された大学令にスポットをあて、新たに設置が認められた公私立大学への制約について検討しています。
1918年に発令された大学令の中で、新たに私立大学と公立大学の設立が認められました。その背景にあったのは、人材需要の増加がありました。日清・日露戦争により日本経済圏はアジアを中心に拡大し、東京帝国大学だけでは高等教育人材(学士)が不足するおそれがあったからです。そして、大正デモクラシーの風潮も、東京帝国大学だけが学士の特権を持つことへの批判を強めました。さらに、法科官僚の帝大独占も批判の対象になったことも、大学令制定につながりました。
しかし、北海道と沖縄は公立大学設置が認められず、また私立大学の設置には、複数学部の設置や大学永続の保証として巨額の供託金など、厳しい制約が付けられました。

カテゴリ: 高等教育リテラシー形成