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歴史から見た大学:中世から現代まで(チャプター5)

講師:寺﨑 昌男(立教学院)
実施日:2013.09.01 全132分 視聴数:1815回

講義の概要

「過去を学び,現在を知り,未来を創造する」(Creating the Future of Faculty Development Learning From the Past, Understanding the Present)とは,アメリカの大学教育開発に大きな影響を与えたマリー・ソルチネッリらの著書の表題です。90年代から,様々な大学改革の制度が導入されてきました。大学設置基準の大綱化,大学評価,任期制,国立大学法人化,学士力,3つのディプロマポリシーなど,あまりにも多くの改革論が流布し,大学人は振り回されがちです。大学を真によくするためには,過去を理解することで大学の現在を知り,大学の未来を展望することが重要です。アメリカの高等教育に関する大学院プログラムでは,高等教育の歴史が重視され,大学教員の身につけるべき素養としても筆頭に掲げられているのは当然のことと言えましょう。
本動画では,日本における大学史研究のパイオニアであり,日本教育学会長・教育史学会代表理事・大学教育学会長を歴任し,大学教育の研究と実践に半世紀にわたって大きな足跡を残している寺﨑昌男氏(東京大学名誉教授)を囲む座談会形式で,歴史の視点から大学のあり方を学びます。

チャプター5:大学の拡大による影響

チャプター5では、大学令発令後の大学の拡大による影響について述べています。
大学令の発令後、高等教育機関拡張計画により大学数が拡大しました。それに伴い、東京帝国大学を頂点にした鋭い学校ピラミッドも緩やかな構造に変化。また、これまで官立大学の予備教育機関の位置づけだった高等学校を、小学校から高校までで完結する高等副教育機関とし、修業年数も短縮されるなど、学校の制度は一見大きく変わったように見えます。しかし実際は、学校ヒエラルヒーや学校の原理は国家原理によって規制されるなど、帝国大学令時代に形づくられた大学の基本的な性格は変わっていませんでした。
その後昭和恐慌が起こり、学士者でさえも失業する時代に陥ると、改めて大学と社会のあり方を問い直す動きが出てきました。

カテゴリ: 高等教育リテラシー形成