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発達障害学生支援の現状と法が求める合理的配慮(チャプター1)

講師:青野 透(金沢大学)
実施日:2014.12.16 全44分 視聴数:10034回

講義の概要

高等教育の機会を広げ、学生に豊かな学習経験を与える上で、日本の大学が取り組んでいる課題のひとつに発達障害学生への支援があります。「大学及び高等専門学校は、発達障害者の障害の状態に応じ、適切な教育上の配慮をするものとする」と定めた「発達障害者支援法」成立から10年、昨年6月には「障害者差別解消法」が成立し、「社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的配慮をしなければならない」との規定を受けて、多くの高等教育機関で支援充実のための体制作りが急ピッチで進められています。本セミナーでは,金沢大学 大学教育開発・支援センターの青野透教授をお迎えし、大学教育の今を見つめ、大学を全ての学生がもっと自らの潜在的能力を引き出していく教育の場にするにはどのようにすべきか、という教育の本質的見地からの合理的配慮について考えます。

チャプター1:人権について

チャプター1では、法学研究者として、発達障害学生支援の問題は人権問題であるという観点から問題提起しています。1948年に採択された世界人権宣言において、教育を受ける権利は人権であることがうたわれ、高等教育についても、等しく開放されていなければいけないとされました。しかし、障害学生は今まで大学で差別されてきたという現実があります。障害差別は人権問題、人権侵害であり、その解消は、大学の組織としての公的義務であるといえるでしょう。
2014年に批准された障害者権利条約で注目すべきことの一つが、合理的配慮という文言の定義です。障害学生が他の学生と同じように授業を受け、大学生活を送ることは権利であり、すべての学生が自らの潜在的教育力を引き出すことを可能にする、そうした教育的見地からの合理的配慮を考える必要があります。

カテゴリ: 学生支援力形成