2本取組の実施プロセス

(1)この取組の背景

全学教育は指導的人材を育成する専門教育や大学院教育への発展のために、学部専門教育では果たすことの出来ない根幹的な基盤教育を行う目的を持っている。この全学教育カリキュラム「共通科目」のベースとなる授業として、特別な工夫を凝らした転換少人数科目「基礎ゼミ」を平成14年度以降、実施している。

東北大学全学教育の構成

全学教育転換・少人数教育科目「基礎ゼミ」

  • 専門導入科目「プレゼミ」 (昭和61年〜)を土台に進化
  • 新理念に基づく全学教育科目「基礎ゼミ」(平成12年)
    • 自ら工夫して調べ、発表し、討論
    • 共に学ぶことを通して人間関係を構築
  • 教員には事前研修(FD)参加と教育的工夫を要求
  • 魅力ある授業に向けての特別な工夫
    • シラバスの入学前配布と受講希望調査
    • 1クラス20名以下、学部横断型クラス編成
    • 参加・体験型を推奨、多様な授業形態(ゼミ、実験、実習、見学、その他: 集中、合宿型も可)
    • 全学生に受講を強く推奨(一部学部は選択科目)
    • 時間割上の工夫(1セメ月3〜5校時、木5校時)

(2)学士課程教育におけるこの取組の意義

基礎ゼミは、大学入学後最初のセメスターで実施される。

少人数制ならではの利点を活用した体験・参加型授業により学生の課題探求能力を培うと同時に、教員・生徒との緊密な人間関係から集団における関わり合い方を学び、豊かな人間性を育むなど、学士課程の始めにあたり、「学びの転換」への自覚転換が促される機会に満ちている。

さらに担当教員にとっては、自らの実践的FDの機会となっている例は少なくはない。

東北大学のめざす全学

(3)この取組が経てきたプロセス

全学教育カリキュラム中では、所属学部生を対象とする専門性の高い転換教育科目A、及び所属学部を問わない学部横断型の転換教育科目Bが設置された。

平成10年5月の「全学教育の見直し」によりA・B両転換教育科目で「少人数教育」方式が導入されたが、転換教育科目Bについては受講希望者数に比べて出講数は僅かであった。

この事態を改善するべく平成11年、転換教育科目Bを発展させた学部横断型全学教育科目を少人数教育で実施するための検討に着手。結果、全学的支援体制のもと設置された130クラスに加え、名誉教授担当による約10クラスを合わせた約140クラスの授業「基礎ゼミ」を実施することとなった。

平成13年度には開講クラスを約3割に縮小した規模で試行され、平成14年度から本格実施された。実際には部局に割り当てられた担当数を越えて授業が実施されており、平成18年度は154クラスが実施されている。