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日本の科学研究力失速の現状とその要因(チャプター4)

講師:豊田 長康(鈴鹿医療科学大学・三重大学名誉教授)
実施日:2021.08.07 全84分 視聴数:188回

講義の概要

大学の研究教育力を反映する論文数は、経済成長の原動力であるイノベーション力と密接に関係します。しかしながら長らく「選択と集中」を進めてきた結果、日本の論文数は惨憺たる状況にまで低迷したのが実態です。研究教育力の充実には、研究時間を確保した研究従事者数および大学研究資金の確保が必須であり、競争力ある大学の層を分厚くする必要があります。日本の科学研究力失速の現状とその要因を明らかにし、今後の日本の取るべき方策について検討します。

チャプター4:何が論文の量を決定するのか?

チャプター4では、各種データに基づき、論文の量の減少に関係する要素は何か検討しています。
論文数と最も相関するのは、研究時間を加味したFTE研究従事者数です。人口あたりの公的研究従事者数(FTE)は多くの先進国で増加しましたが、日本では減少しているのが現状であることに加え、日本の大学教員の研究時間もまた減少しています。
大学への公的研究資金についてみると、その寄与の程度の内訳は、「人件費:活動費:施設設備費=7:2:1」となります。したがって、研究人件費の多寡が最も強く論文数を左右する要因となっています。
臨床医学論文については2010年以降回復が見られますが、これは、大学病院の経営改善および医師の回帰・増加が寄与したものと考えられます。

カテゴリ: 高等教育リテラシー形成