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日本の科学研究力失速の現状とその要因(チャプター5)

講師:豊田 長康(鈴鹿医療科学大学・三重大学名誉教授)
実施日:2021.08.07 全84分 視聴数:348回

講義の概要

大学の研究教育力を反映する論文数は、経済成長の原動力であるイノベーション力と密接に関係します。しかしながら長らく「選択と集中」を進めてきた結果、日本の論文数は惨憺たる状況にまで低迷したのが実態です。研究教育力の充実には、研究時間を確保した研究従事者数および大学研究資金の確保が必須であり、競争力ある大学の層を分厚くする必要があります。日本の科学研究力失速の現状とその要因を明らかにし、今後の日本の取るべき方策について検討します。

チャプター5:何が論文の質を決定するのか?

チャプター5では、論文の質(注目度)を左右する要因は何かを、さまざまな指標から検討しています。
論文の質(注目度)を左右する要因には、「質」以外の要因と「質」に関わる要因があります。「質」以外の要因としては、研究者コミュニティーの規模などがあり、これは大国ほど有利です。「質」に関わる要因としては、注目度の高い論文を量産できる研究者(HCR)の存在、研究環境(研究時間や研究支援者数など)等が挙げられます。
「注目度」指標については、「質」以外の多くの要因によって左右されること、また、「注目度」によって測れない「質」もあることを念頭に置く必要があります。とはいえ、「注目度」指標は全くあてにならない指標ではなく、研究環境の悪化を鋭敏に反映する指標だと言えます。

カテゴリ: 高等教育リテラシー形成