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認知科学と学習の原理・応用(チャプター1)

講師:佐伯 胖(信濃教育会教育研究所長,東京大学名誉教授)
実施日:2013.10.08 全82分 視聴数:11233回

講義の概要

私たち人間は,家庭・学校・社会でさまざまな知識・技能を学び続けています。学校でよく学び,知識・技能をよく習得して深め,大学教員となり,新しい知識を創造し,その成果を学生に教える人々もいます。学習はあらゆる場面で行われていますが,教師も学生も,「人間の学習はどのような特徴があり,どのような方法をとると効果的に学べるのか」,あるいは,「どのような教育方法をとると,学習が効果的に進むのか」について,ほとんど知識がないままに行われています。特に,大学教員は勉強好きで,専門分野の思考形式や知識習得を容易に行ってきたために,簡単に新しい事実を呑み込めない学生の気持ちに気が付かないことが多いといえます。効果的な大学教育と学習を行うために,教員と学生にとって,認知科学は,はじめの一歩です。認知科学の第一人者である佐伯胖氏から,人間の学習はどう進むかについて学びます。

チャプター1:誘導による教育

チャプター1では、「教育」は「教える」という技術だとする近代以降支配的だった教育観を概観しています。J.A.コメニウスは『大教授学』(1657)の中で、学校は人間製作所であると述べ、「方法」の自覚、「働きかけ」の重視、「対象の変容」を目的化するのが「教育」だと位置付けました。ルソーの『エミール』の中にも、教育は非常に巧みな誘惑術だという表現があります。
日本でも、国語教育の世界で尊敬を集める大村はまに代表されるように、教師の指導を受けていると子どもには思わせずに、実は思い通りの指導をするのが教師の極意、教育の極意だという考え方が教育界にはあります。
子どもはすべて「教え」の対象であり、「一人ひとりの子どもに寄り添う」というのは、教育技術の方として寄り添うということである。熱心な教師ほどこういう考え方に陥りがちです。

カテゴリ: 高等教育リテラシー形成