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認知科学と学習の原理・応用(チャプター3)

講師:佐伯 胖(信濃教育会教育研究所長,東京大学名誉教授)
実施日:2013.10.08 全82分 視聴数:3073回

講義の概要

私たち人間は,家庭・学校・社会でさまざまな知識・技能を学び続けています。学校でよく学び,知識・技能をよく習得して深め,大学教員となり,新しい知識を創造し,その成果を学生に教える人々もいます。学習はあらゆる場面で行われていますが,教師も学生も,「人間の学習はどのような特徴があり,どのような方法をとると効果的に学べるのか」,あるいは,「どのような教育方法をとると,学習が効果的に進むのか」について,ほとんど知識がないままに行われています。特に,大学教員は勉強好きで,専門分野の思考形式や知識習得を容易に行ってきたために,簡単に新しい事実を呑み込めない学生の気持ちに気が付かないことが多いといえます。効果的な大学教育と学習を行うために,教員と学生にとって,認知科学は,はじめの一歩です。認知科学の第一人者である佐伯胖氏から,人間の学習はどう進むかについて学びます。

チャプター3:実験と学習の状況論革命

チャプター3では、認知心理学の立場からの学習理解、さらに状況論革命を経て新たな学習研究の展開を紹介しています。ガルシアとケーリングの実験では、ネズミであっても、意味のないことは学習しない。その動物にとっての「意味」を除外して、刺激-反応の連合を何度繰り返しても、動物は学習しないことを明らかにしました。心理学が行動心理学から認知心理学に変わると、教え込もうとすることによって学習するのではなく、本人がいろんな仮説を持ち、意味を作り出そうとするから学習するのだ、という大きな転換が起こります。
その後、認知過程はコンピューターと同じような情報処理過程でモデル化できるという発想が破綻すると、実験によって学習を科学しようとする状況論革命が登場。1990年代に入り、実験的に解明しようとする学習研究の限界が示されました。

カテゴリ: 高等教育リテラシー形成