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認知科学と学習の原理・応用(チャプター7)

講師:佐伯 胖(信濃教育会教育研究所長,東京大学名誉教授)
実施日:2013.10.08 全82分 視聴数:2061回

講義の概要

私たち人間は,家庭・学校・社会でさまざまな知識・技能を学び続けています。学校でよく学び,知識・技能をよく習得して深め,大学教員となり,新しい知識を創造し,その成果を学生に教える人々もいます。学習はあらゆる場面で行われていますが,教師も学生も,「人間の学習はどのような特徴があり,どのような方法をとると効果的に学べるのか」,あるいは,「どのような教育方法をとると,学習が効果的に進むのか」について,ほとんど知識がないままに行われています。特に,大学教員は勉強好きで,専門分野の思考形式や知識習得を容易に行ってきたために,簡単に新しい事実を呑み込めない学生の気持ちに気が付かないことが多いといえます。効果的な大学教育と学習を行うために,教員と学生にとって,認知科学は,はじめの一歩です。認知科学の第一人者である佐伯胖氏から,人間の学習はどう進むかについて学びます。

チャプター7:CCSSの実践例

チャプター7では、2002年に報告した建設的会話支援システム(CCSS)の実践例をもとに、学習の場にYOU的関係をつくっていくことの大切さを述べています。二人称的関係を取り入れたCCSSは、会話を楽しむYOUモード、論理推論的なTHEYモードなどのモードが設けられ、YOU的なかかわりをするリード文を選択しながら、YOUモードからTHEYモードへと移行するように誘うというもの。CCSS のYOU的会話では、ふざけたこと言って茶化す者もいれば、真面目な議論になりだすとみんな一緒になってそれを盛り上げたり、YOU的環境の中での会話というものを実現できるようにしています。
学習というのは本来、YOU的関係の中でお互いが共同参加しすることで生まれていくものです。お互い同士がYOU的関係を持った二人称的に語り合う関係ができた時に、実践参加する本当の学習は生まれます。

カテゴリ: 高等教育リテラシー形成