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歴史から見た大学:中世から現代まで(チャプター8)

講師:寺﨑 昌男(立教学院)
実施日:2013.09.01 全132分 視聴数:1729回

講義の概要

「過去を学び,現在を知り,未来を創造する」(Creating the Future of Faculty Development Learning From the Past, Understanding the Present)とは,アメリカの大学教育開発に大きな影響を与えたマリー・ソルチネッリらの著書の表題です。90年代から,様々な大学改革の制度が導入されてきました。大学設置基準の大綱化,大学評価,任期制,国立大学法人化,学士力,3つのディプロマポリシーなど,あまりにも多くの改革論が流布し,大学人は振り回されがちです。大学を真によくするためには,過去を理解することで大学の現在を知り,大学の未来を展望することが重要です。アメリカの高等教育に関する大学院プログラムでは,高等教育の歴史が重視され,大学教員の身につけるべき素養としても筆頭に掲げられているのは当然のことと言えましょう。
本動画では,日本における大学史研究のパイオニアであり,日本教育学会長・教育史学会代表理事・大学教育学会長を歴任し,大学教育の研究と実践に半世紀にわたって大きな足跡を残している寺﨑昌男氏(東京大学名誉教授)を囲む座談会形式で,歴史の視点から大学のあり方を学びます。

チャプター8:占領軍による大学改革

チャプター8では、占領軍によって進められた戦後の大学改革について検討しています。
戦後の大学改革において、占領軍から提起されたのは「誰のための大学か」という視点でした。主権者である国民の須要に応じることを新しい大学教育の理念に掲げ、市民を育てることをミッションとしました。リベラルアーツの学部と教職教育は必置とし、加えて各地域のニーズに応じた部局を設けること、大学運営に地域の要求を取り入れることなど、「地域に応じる」ということを意識した11の原則が掲げられましたが、国内の大学からはこれまで築いてきた自治の根底が崩れ、学問の自由が侵害されるとして反発の動きが出ました。
しかし、現在はどの大学も地域貢献をうたっており、振り返ると占領軍の考え方もマイナス面だけではなかったのかもしれません。

カテゴリ: 高等教育リテラシー形成