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第14 回東北大学高等教育国際セミナー 国境を越える大学教育: 留学生の安心保障―オーストラリアの事例から―

　高等教育論 L-01

概要：
　高等教育の国際化の象徴として，毎年３００万人に及ぶ学生が国境を越えて大学で学んでいます。留学生の増加には，自分の学習ニーズに対応した教育を海外で求める学生自身の行動や，優秀な人材を国外からも求める政府・機関の政策などさまざまな理由があります。その大きな理由の1 つは，オーストラリア，イギリスなどに見られるような，大学の資金源と
しての留学生集めです。しかし，商業主義的な意味を持つ留学生政策は，最小限の費用で教育を賄い，最大限の収入を確保するため，十分な支援がとられず，学生に満足すべき教育が提供されないなどの問題があります。
　また，住居や健康問題，適応への文化的葛藤など学生に様々なリスクを負わせています。留学生３０万人計画など今後も留学生拡大が企図され，海外への留学も推進されていますが，送り出し・受け入れ双方で，大学だけでなく社会全体が環境を整えることが求められています。
　学生総数の４分の１を海外からの留学生が占めるオーストラリアは，世界で最も留学生集めに熱心な国であり，こうした問題も広がっています。
　サイモン・マージンソン教授（メルボルン大学）が取り組み，最近，International Student Security（Cambridge University Press, June 2010）を刊行しました。マージンソン教授は，高等教育の市場化，グローバル化と高等教育に関し多数の著書があり、国際的に高く評価されています（Imagination: Three Models of Imagination in the Age of the Knowledge Economy, 2007, Prospects of Higher Education :Globalization,Market Competition, Public Goods and the
Futuere of University, 2007, Creativity and the Global Knowledge Economy,2008）。教授をお招きし，高等教育の国際化に特有なこの問題について，議論したいと思います。関心のある方はぜひご参加ください。