教育関係共同利用拠点提供プログラム 高等教育論 L-01
○ 講演者
「 震災復興の構想力 」
仙台大学 教授 高成田 享 氏
「 脱原発時代を支える人材確保・人材養成の課題 」
九州大学副学長
九州大学大学院比較社会文化研究院 教授 吉 岡 斉 氏
「 大震災以後の科学技術と人材育成 」
東北大学理事・附属図書館長
東北大学大学院文学研究科 教授 野 家 啓 一 氏
3 月11 日の東日本大震災は、死者・行方不明者2 万2000 人強という甚大な被害を出し、いまなお11 万人が避難暮らしを余儀なくされ、原発事故は依然として終息していない。その被害総額は現時点ですら25兆円に及び(内閣府統計)、さらに今後復旧・復興費用を含め、巨大な額に達すると思われる。大学・高等教育機関の人的被害は少なかったが、被害は24 都道府県の218 機関に広がり、国公私立大学の被害は900 億円を超えると推計されている。大学自身も被害を受け、PTSD への対応など学生支援をはじめとする対策も重要であり、さらに地域医療や社会の危機管理など復旧・復興に大学の果たす役割が期待されている。
また、大震災を通じて、原子力発電のように巨大なリスクをはらむ科学技術を使いこなす上で、大学・研究者のあり方が浮かび上がってきたことにも大学としては深刻に受け止めなければならない。特に、直後の物資輸送・救援活動や原発事故への対応、復旧活動の遅れは人災というべきである。社会を担うリーダーを育ててきたはずの大学教育が、いかなる人間を育ててきたのかという強い自己反省を持たざるを得ないし、今後、どのような人材を育てていくかを改めて問い直されている。
今回のIDE東北地区セミナーは、以上の問題意識の下に企画した。ぜひ多くの参加を期待したい。
主催:IDE 大学協会東北支部/東北大学高等教育開発推進センター