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教員 -そのリアル-

准教授

宿利 由希子

SHUKURI Yukiko

●所属

言語・文化教育センター

●専門分野

社会言語学、日本語教育

ことばの操作性と微笑するジャイアン

 『ドラえもん』のしずかちゃんが“smile”を見せた場合、その様子を「しずかちゃんはにっこりした」と描写しても「しずかちゃんは微笑んだ」と描写しても「しずかちゃんは微笑した」と描写しても、大きな問題はありません。では、笑う主体をジャイアンにかえてみたらどうでしょう。「ジャイアンはにっこりした」まあセーフです。「ジャイアンは微笑んだ」評価が分かれるかもしれませんが、私はやや違和感を覚えます。「ジャイアンは微笑した」どうしたジャイアン!何か企んでいるなどの含意がない限り、我々がジャイアンの“smile”を「微笑する」と描写することはないのではないでしょうか。日本語には文法上のルールでもないのに「このような人物の描写にふさわしい/ふさわしくない」と、なかば誘導・操作されるように使用している表現があります。このようなことばの側面を便宜的に「ことばの操作性」と呼んで研究しています。