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学生への経済的支援の現状と課題(チャプター4)

講師:小林 雅之(桜美林大学)
実施日:2021.06.19 全70分 視聴数:452回

講義の概要

我が国では2017年より所得連動型奨学金制度と給付型奨学金制度が創設されました。以後、「高等教育の無償化」は突如として国の重要政策課題となり、2007年12月の「新しい経済政策パッケージ」では授業料減免と給付型奨学金の拡充が閣議決定されました。短期間の議論の後、2019年5月には大学等就学支援法が成立して、高等教育の無償化が「限定的に」進んでいます。しかしコロナ禍にある今、教育機会をめぐる経済的支援のあり方は喫緊の重要課題となり、広く国民的議論の必要性に迫られているのが現状ではないでしょうか。
学生支援の現状と課題について、教育機会均等、学生支援の根拠、戦後日本における学生支援制度の変遷等を踏まえながら、コロナ禍対応が迫られる現在を射程に検討いただきます。

チャプター4:日本における学生支援制度

チャプター4では、日本の奨学金の状況を概観するとともに、2017年度の日本学生支援機構奨学金制度の改革、それに続く大学等修学支援法による新制度の内容や問題点を検討しています。
奨学金の状況を見ると、1997年以降、有利子奨学金が大きく拡大しましたが、近年では返済への不安から有利子奨学金が減少、無利子奨学金が増加傾向にあります。
2017年度の日本学生支援機構奨学金制度改革では、無利子奨学金の新所得連動型奨学金返還制度と給付形奨学金が導入されました。卒業後の所得に応じて返済する所得連動型ローンは、低所得者ほど負担が少なくて済み、返済の不安に対する保険の機能を持っていると評価できます。
2019年の「大学等修学支援法」では、限定的な「高等教育の無償化」が実現しました。しかし、すべての大学や専門学校が支援の対象となるわけではなく、結果として低所得者を排除することになりかねないという懸念もあります。

カテゴリ: 高等教育リテラシー形成