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ポストコロナ時代と「大学」の〈時間〉(チャプター2)

講師:吉見 俊哉(東京大学)
実施日:2021.12.18 全72分 視聴数:593回

講義の概要

平成という時代は、大学改革が一過性のブームでなく常態化した時代でありました。大学設置基準の大綱化、大学院重点化や任期制の導入、評価制度、国立大学法人化といった一連の改革は、日本の大学・高等教育システムを大きく変動させました。数多くの課題が明らかになるなか、コロナ禍という予期せぬ事態はそれをより顕在化・深刻化させ、今や日本の大学は、変動どころか深い混迷のなかにあるとさえいえます。とはいえこうした混迷・困難の時代にあるからこそ、大学には自らの力で次代の大学像を検討することが求められるのではないでしょうか。そのためには、大学を「時間的存在」として捉え返すことが必要不可欠です。『大学は何処へ――未来への設計』(岩波新書)を下敷きに、未だ続く大学改革の先で、ポストコロナ時代の大学像を時間論的視座から展望していただきます。

チャプター2:パンデミックと大学の使命

チャプター2では、人類が繰り返し襲われてきたパンデミックとグローバリゼーションの関係を踏まえ、COVID-19のパンデミックのもとでの大学の使命について考えています。
第1次世界対戦時のインフルエンザをはじめ、コレラ、天然痘、ペストなど、人類は繰り返しパンデミックに襲われてきました。パンデミックと表裏の関係にあるのがグローバリゼーションです。グローバル化によって接触や交流、越境、対話が広まり、その中にウイルスや細菌、病原菌が含まれることによってパンデミックが起こりました。
大学はパンデミックの側ではなく、あくまでグローバリゼーションの側にいます。それは、移動や交流、自由こそが、大学の創造性を可能にするからです。接触や交流、越境、対話、つまり3密ということが大学にとって不可欠なことは、大学とは何かという根本の概念に遡ってみれば自明なことと言えるでしょう。

カテゴリ: 高等教育リテラシー形成