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ポストコロナ時代と「大学」の〈時間〉(チャプター3)

講師:吉見 俊哉(東京大学)
実施日:2021.12.18 全72分 視聴数:530回

講義の概要

平成という時代は、大学改革が一過性のブームでなく常態化した時代でありました。大学設置基準の大綱化、大学院重点化や任期制の導入、評価制度、国立大学法人化といった一連の改革は、日本の大学・高等教育システムを大きく変動させました。数多くの課題が明らかになるなか、コロナ禍という予期せぬ事態はそれをより顕在化・深刻化させ、今や日本の大学は、変動どころか深い混迷のなかにあるとさえいえます。とはいえこうした混迷・困難の時代にあるからこそ、大学には自らの力で次代の大学像を検討することが求められるのではないでしょうか。そのためには、大学を「時間的存在」として捉え返すことが必要不可欠です。『大学は何処へ――未来への設計』(岩波新書)を下敷きに、未だ続く大学改革の先で、ポストコロナ時代の大学像を時間論的視座から展望していただきます。

チャプター3:オンラインの爆発と時間の壁の浮上

チャプター3では、コロナ禍のもと強く求められた接触や交流、移動の自粛に対し、大学の可能性を確保するために爆発的に取り入れられたオンラインについて検討。その可能性とともに、オンライン化によって生まれる新たな壁=時間の壁について紹介しています。
接触や交流、移動の制限から大学が本来持っている価値をまもろうと爆発的に導入されたのがオンライン授業です。異なるキャンパス、異なる大学あるいは異なる国の間で授業を共有するというように、自由に空間の壁を越えることができるのは、オンラインのメリットです。
オンラインを通じてグローバル化が進んでいくと、時間割や学期暦が異なるといった問題、つまり時間の壁が立ち現れます。オンライン化が進むことにより、国際的な授業の活発化が予想されますが、学期暦などが欧米とは大きく異なる日本には克服すべき課題が多くあると言えるでしょう。

カテゴリ: 高等教育リテラシー形成