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ポストコロナ時代と「大学」の〈時間〉(チャプター4)

講師:吉見 俊哉(東京大学)
実施日:2021.12.18 全72分 視聴数:493回

講義の概要

平成という時代は、大学改革が一過性のブームでなく常態化した時代でありました。大学設置基準の大綱化、大学院重点化や任期制の導入、評価制度、国立大学法人化といった一連の改革は、日本の大学・高等教育システムを大きく変動させました。数多くの課題が明らかになるなか、コロナ禍という予期せぬ事態はそれをより顕在化・深刻化させ、今や日本の大学は、変動どころか深い混迷のなかにあるとさえいえます。とはいえこうした混迷・困難の時代にあるからこそ、大学には自らの力で次代の大学像を検討することが求められるのではないでしょうか。そのためには、大学を「時間的存在」として捉え返すことが必要不可欠です。『大学は何処へ――未来への設計』(岩波新書)を下敷きに、未だ続く大学改革の先で、ポストコロナ時代の大学像を時間論的視座から展望していただきます。

チャプター4:時間のマネジメントとしての大学改革

チャプター4では、日本と欧米の大学を比較し、大学教育のクオリティを上げるため、学生の履修科目数を削減することについて提言しています。
いま日本の大学がやらなければならないのは、学生の履修科目数の削減です。日本の学部生たちは1週間に10科目から12科目、4年間で60科目から70科目を履修します。欧米のトップユニバーシティの場合、1学期に履修する科目は4科目から5科目と日本の半分以下。ただし1つの科目が1週間に2回、3回と繰り返しあります。日本の大学教育が「多く軽く」なのに対し、世界標準の大学教育は「少なく重く」なのです。
また、夏、秋、冬、春の細切れに設けられている休みを欧米のように一つにまとめ、3か月程度、大学での時間とはまったく違う時間のあり方で過ごせるようにすることも検討すべきです。

カテゴリ: 高等教育リテラシー形成