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学士課程教育における日本語リテラシーを考える(チャプター5)

講師:滝浦 真人(放送大学)
実施日:2022.04.23 全78分 視聴数:101回

講義の概要

現在多くの大学では、初年次教育や基礎ゼミナールのなかで、レポートや論文の書き方が指導されています。大学生が日本語で読み・書き・考えるスキルを身につけることは、現在の学士課程教育における重要な教育目標の一つであるといえるでしょう。「知る・読む・考える」ことに習熟しながら「書く」ことを学ぶ意義や面白さについて考えます。

チャプター5:3.論理と文体:「起承転結」文を検討したい

チャプター5では、日本においてうまい文章の一つの典型として考えられている「起承転結」文の文体や構造について検討しています。
アカデミックな文章を書く場合、「起承転結」文体は合わないと、私自身は考えています。「起承転結」の文体では「転」で飛躍が生じ、そのままでは空中分解してしまうところを、「起承」と「転」を共にカバーする「結」を持ち出すことで、それらしく演出しているからです。「起承転結」の文体は、一種の雄弁術であり、論理的ではないのではないでしょうか。
そこで私がお勧めするのが、「起承“論”結」の文体です。つまり、転じるのではなく、起承の流れを受けて一般化(論)を試みる。結では、その一般化に角度を変えた解釈を試みる。そうすることで、結が論理的に導かれたものとなるわけです。「転じるな、論じよ!」を理解することで、学生の書くものもだいぶ変わってくるのではないでしょうか。

カテゴリ: 高等教育リテラシー形成