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「学問としての教育学」と教育の未来〜学び/公教育の構造転換に向けて〜(チャプター2)

講師:苫野 一徳(熊本大学)
実施日:2022.10.22 全82分 視聴数:133回

講義の概要

「よい」教育とは何か?教育学はいかに「科学」たりうるか?さまざまな現場に「役に立つ」実践理論や方法をいかに開発しうるか?これらの問いに力強く答え抜く教育学の構想を土台に、これからの教育の構想を具体的に考えていく。

チャプター2:哲学とは何か?

チャプター2では、帰謬法の論理との対比を通して「現象学」の考え方を解説し、教育学への応用の可能性を提示しています。
1980年代以降、教育学の哲学部門では相対主義が台頭し、帰謬法を使った論理相対化によって、よい教育とは何かなど言えるはずがない、解明しようがないというのが趨勢となってきました。帰謬法の基本的な戦略は、真偽パラダイム(客観主観パラダイム)に持ち込み、それはあなたの主観であり客観的ではない、絶対に真とは言えないということを論証する点にあります。これに対し現象学では、真か偽かという問い自体を設定しません。客観や絶対の真理といった考え方を一旦エポケー(判断中止/括弧入れ)し、私にはこういう「確信・信憑」がありますがあなたはどうですかと問い合い、共通了解を見出し合おうとします。客観的真理ではなく共通了解に目を向ける現象学の考え方は、教育も含め、あらゆる場面での応用が可能です。

カテゴリ: 高等教育リテラシー形成