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「学問としての教育学」と教育の未来〜学び/公教育の構造転換に向けて〜(チャプター3)

講師:苫野 一徳(熊本大学)
実施日:2022.10.22 全82分 視聴数:121回

講義の概要

「よい」教育とは何か?教育学はいかに「科学」たりうるか?さまざまな現場に「役に立つ」実践理論や方法をいかに開発しうるか?これらの問いに力強く答え抜く教育学の構想を土台に、これからの教育の構想を具体的に考えていく。

チャプター3:現象学の展開と意義

チャプター3では、現象学で確信の根拠となる個別直観、本質直観、情動所与について説明したのち、信念対立の克服ならびに「学問」の基礎づけという観点から現象学の意義を検討しています。
私たちは、個的直観や本質直観、情動所与を最も源泉的な確信根拠として様々な確信を抱くと現象学では考えます。さらに情動所与の原理を展開し、私たちの世界認識はその一切が欲望や関心に相関的に立ち現れた「確信・信憑」であるとします。そう考えることで、お互いの欲望・関心に相関的な確信を持ち寄って共通了解を見出し合うこと、つまり信念対立を克服することが可能になります。現象学は学問の基礎づけをするという動機で編まれました。絶対の真理や客観的な法則を発見するのが学問ではなく、私たちの認識装置の範囲内において確信・信憑された相互主観的な現象を、共通了解可能な方法で構造化するのが科学であり、学問の本質なのです。

カテゴリ: 高等教育リテラシー形成