高等教育開発室

概要

高等教育開発室は、旧大学教育研究センター時代に始まる歴史を持ち、①高等教育に関する政策・実践等の調査・研究、②東北大学における教育内容・方法、教育マネジメント、学習支援等に関する調査・研究・提案、③教育改善に資する教職員専門性開発の企画・実施の3つを柱に活動を推進している。

 

そのために、学外の専門家や高度教養教育・学生支援機構内の研究者から協力を得ながら、教養教育のカリキュラムや授業方法、大学院教育における学習・研究環境、教職員の専門性開発(PD)、大学マネジメントに関する調査研究を幅広く推進し、その成果を国内外の学会・研究会、報告書、商業出版物、紀要論文等を通じて広く社会に還元している。

 

また、高等教育開発室所属の各教員は、全学教育の運営に責任をもつ学務審議会および審議会の下位委員会に専門委員として加わり、その専門性を活かして、全学教育FD・基礎ゼミFDの企画・運営、授業評価・成績評価や卒業時調査等の分析・報告などを通して東北大学全学教育の改善と充実に寄与している。

 

高等教育開発室所属の教員は、高度教養教育・学生支援機構下の11の業務センターのうち、特に教育評価分析センター、大学教育支援センター、学際融合教育推進センター、学習支援センターに所属し、その専門や適性に応じて、各センターが取り組む各種の業務やプロジェクトを推進している。

2011年 質保証国際セミナー

研究・教育活動

[1]高等教育に関する調査研究活動

2007~2012年には、全学的基盤経費に基づいて「『教育の成果』検証システムに関する調査研究」を実施し、本学の学士課程カリキュラムの実態把握や他大学との比較、教育成果の検証方法に関する調査を行った。その成果は、高等教育開発推進センター紀要第7号等に報告するとともに、実践面でも、各学部のFD活動に係る情報収集システムの構築につながっている。

 

2013年からは、これまでの成果を発展的に引き継ぎ、「教務情報を活用した学修成果検証システムの構築」に関する調査研究を進めている。これに関連する取組みとして、2013年3月には2012年度学部卒業生を対象に「第1回 東北大学の教育と学修成果に関する調査」を実施し、その結果を分析した報告書を2014年3月に刊行した。今後は、この調査結果も用いて、東北大学生の学習経験や学習行動と成果との関係を多面的に明らかにしていくこととしている。

 

また、大学院教育に関しても、国際的な大学院教育の動向を調査するとともに、本学における大学院教育の改善に資する調査研究も推進してきた。2011年には学務審議会「大学院教育の充実・強化に関する検討WG」と連携して東北大学院生調査を実施し、その結果を学内向け報告書として刊行した。こうした調査研究活動を踏まえ、現在は、研究倫理等に関する大学院共通教育の導入を目指している。さらに、2013年からは発展的な研究テーマとして、「学士課程及び大学院を一貫する高度教養教育の開発研究」を進めている。このたび新たに設置された高度教養教育・学生支援機構が取り組む高度教養教育のあり方を探求し、実際のカリキュラム改革につなげていく予定である。

 

さらに、近年は教員を対象とした調査研究にも力を入れている。その成果として、『CAHE TOHOKU Report32 研究大学における大学院教員の能力開発の課題』(2010年)、『大学における「学びの転換」と学士課程教育の将来』(東北大学出版会、2010年)、『高等教育ライブラリ1 教育・学習過程の検証と大学教育改革』(同、2011年)、『大学教員の能力―形成から開発へ―』(同、2013年)、『CAHE TOHOKU Report 53大学教員の授業準備に関する調査報告書』(2014年)などを刊行している。

 

この他、科学研究費補助金等による共同研究として、「知識基盤社会におけるアカデミック・インテグリティ保証に関する国際比較研究」(2011-2013年)、「大学における内部質保証システムの再構築と効果的運用に関する国際比較研究」(2010-2012年)、文部科学省委託研究として「諸外国における大学教授の資格制度に関する実態調査」(2011年)を進めてきた。現在は、「グローバル社会におけるコンピテンシーを具体化する高度教養教育の開発研究」(2014-2017年、羽田貴史)、「大学教育の内部質保証を担うミドルマネジメント人材の専門性開発に関する国際比較研究」(2014-2016年、杉本和弘)、「大学生の学習活動との関係に見る成績評価の適切性」(2013-2015年、串本剛)、「成長型教授設計プロセスモデルに基づく授業リフレクションプログラムの開発」(2012-2014年、今野文子)を推進している。

 

[2]各種フォーラム・シンポジウムの企画・実施

調査研究に基づく各種セミナー開催のほか、入試開発室と協力して、高大連携をテーマとする東北大学高等教育フォーラム(5月)、IDE東北支部と協力してIDE大学セミナー(11月)を毎年度企画・開催し、報告書を刊行している。

 

[3]各種評価改善に関する取組みの企画・実施

学務審議会教育情報・評価改善委員会のメンバーとして、セメスターごとの学生による授業評価、成績分布の公表に際して分析を行っているほか、『ちょっとの工夫でこんなに変わる!!全学教育授業実践事例集』の企画・編集、高等教育開発推進センター全学教育推進部と連携して、初修外国語に関する学生調査(『CAHE TOHOKU Report 39 東北大学の初修外国語』2012年)を実施するなど、東北大学の教育改善に役立つ活動を推進している。

教員の紹介

 室 長  教 授 杉本 和弘 (比較教育学)
  教 授 大森 不二雄(教育社会学、教育政策、高等教育)
  准教授 串本  剛 (高等教育論)
  准教授 山内 保典 (認知心理学、科学技術社会論)
  准教授 佐藤 智子 (社会教育、生涯学習、教育行政学)
  准教授 戸村  理 (高等教育論、教育学・教育社会学)
  講 師 松河 秀哉 (教育工学)
  助 教 新井 庭子 (計量言語学・人文情報学)
  助 教 西塚 孝平 (教育アセスメント論)
  特任助教 松原  久 (地域社会学、災害社会学)
  特任助教 高橋  結 (非営利組織論、コミュニティビジネス)

お知らせ

☆高等教育開発室教員らの翻訳・解説によるFDガイドブックが刊行されました!

ケイ J.ガレスビー、ダグラス L.ロバートソン編著(羽田貴史監訳、今野文子・串本剛・立石慎治・杉本和弘・佐藤万知訳)『FDガイドブック―大学教員の能力開発』が2014年1月、玉川大学出版部から刊行されました。各機関でFD・SDに取り組む研究者・実践者の必携書です。ぜひ常にお手許に置いてご活用ください!同書については、コチラをご覧ください。